グリーンまで10〜20ヤード。初心者ほど「ロブでピンに落としたい」「高く上げれば寄るはず」と考えがちですが、実際はそれがトップ・ダフリ・届かないの原因になり、打数を増やしてしまいます。
この記事では「なぜ初心者が失敗するのか」を現場目線で解きほぐし、クラブ選択の優先順位、ライ別の具体対処法、ミス別の即効ドリル、そしてすぐ使えるプレショットチェックリストまで、実践的に深掘りします。
原因の整理(現場でよく見るパターン)
- 振り幅(スイング量)の“基準がない”
→ 毎回場当たり的に振るため、オーバー/ショートを繰り返す。 - 高ロフト(60/58/56)多用の弊害
→ フェースを開く必要があり、打点が不安定。振り幅が大きくなってミスが増える。 - 「歯に当たる」/トップ
→ 腕だけで合わせようとしたり、体重移動ができていない。 - ラフや花道、砲台グリーンでの失敗
→ ライに応じたクラブ選択と打ち方の変化ができていない。 - メンタル:寄せワン欲が先行する
→ リスクを取って難しい選択をしてしまう。
クラブ選びの詳細ルール(優先順位と理由)
目的は「オン(グリーンに乗せる)」であり、ピンに寄せることは二次目標。
- パター(可能なら最優先)
- 花道・カラーはパターで転がせるならそれが最も安全。打点が安定しやすく、距離感も出しやすい。
- 転がせるクラブ(PW/9I) ← 初心者の基本ライン
- 振り幅が小さくて済み、ミスが出にくい。転がりを味方にできる。
- AW/SW(ウェッジ)
- 障害物がある場合やどうしてもキャリーさせないといけない場合のみ。
- 初心者は“ロブ系多用”を避け、必要最小限で。
ポイント: 「クラブを上げてロブで寄せる」→振り幅が増え、フェースを開く → ミスが増える。だからまずは“転がす選択”を基本に。
ライ別の具体対応(セットアップ・スイングのコツ)
花道(カラー・芝が短めのエッジ)
- 症状:トップしやすい(球が高くなって奥へ行く)
- 対処:
- ボール位置をやや後ろ(両足中心よりやや右寄り)に置く。
- 左足体重(60%程度)を事前に作っておく → ダウンで前に残すイメージ。
- パターが使えるなら迷わずパター。転がしが安定する。
- 避けること:SWで大きく振って高さを出す(トップの機会が増える)。
ラフ(長めの芝)
- 症状:芝に食われて“ちゃっくり”(ダフリ)
- 対処:
- クラブは1つ多めを持つ(例:PWで届きそうなら9Iにする)→ 芝に負けても転がりで稼げる。
- 振り抜く(フィニッシュまでしっかり)意識。手で止めるとダフる。
- インパクトでフェースが遅れないよう、やや強めに振る。
- 練習:ラフ想定のマットや長めの芝で“同じ振り幅”を繰り返す。
砲台グリーン(オーバーで止まらない/斜面に当たって止まる)
- 症状:斜面やエッジに当たってグリーンに届かない、あるいは奥にこぼれる
- 対処:
- 無理に全て乗せようとしない:安全にセンターを狙うか、手前に落としてスピンや傾斜で転がす作戦。
- 傾斜がきつくて当たりやすいなら、転がすより「少し高めにキャリーさせる」必要があるが、初心者はミスしやすいので避ける傾向が無難。
- 砲台で前に落としても止まらないなら、安全策で手前に落とす(返しのパットを想定)。
ミス別:原因と即効で試せる修正ドリル
A. トップ(歯に当たる)
- 原因:体重が右に残る/手で上げようとする/フェースが上向きになっている
- 即効ドリル:左足体重キープドリル
- アドレスで体重を左に6:4(左優位)にする。
- 小さめの振り幅(腰〜胸)で50球、左足に意識を持ったまま打つ。
- 当たりが薄くなれば、さらに左重心を増やして練習。
- 補助:腰にタオルを挟み、タオルを落とさない意識でスイング(上体が起きるのを防ぐ)。
B. ちゃっくり(ダフリ/ラフに負ける)
- 原因:振り抜けない/クラブが芝に負ける
- 即効ドリル:ヘッドスピード維持ドリル
- 目標を決め(例えばマーカーの手前)、スイングはフルで振る。
- フォローをしっかり出してクラブが抜ける感覚を作る(手で止めない)。
- 1つ上の番手で試して、芯でとらえられるか確認する。
C. 届かない(砲台や距離感ミス)
- 原因:振り幅でのキャリー感覚がない/番手不足
- 即効ドリル:振り幅→キャリーマッピング
- 練習場の的(ネットやコーン)に対して、膝→膝、腰→腰、胸→胸の3段階で打つ。
- それぞれの“落ちどころ”をメモする(ノート推奨)。
- 数回繰り返し、自分の振り幅基準を作る。
具体的な練習プラン(例:90分)
- ウォームアップ(10分):短めのスイングで筋肉をほぐす。パター数球。
- 振り幅マッピング(25分):
- PW/9Iを使い、膝→腰→胸の振り幅で目標に当てる練習。各振り幅10球ずつ。
- 距離をメモして“自分の基準表”を作る。
- 左足体重ドリル(15分):
- ボールを少し右寄りに置き、左重心での半スイングを反復。トップが減るか確認。
- ワン・クラブ・チャレンジ(20分):
- PWだけでグリーンオンを目指す。10球中8球を目標。成功率を記録。
- ライ別実践(15分):
- 花道・ラフ想定で同じ距離を打ち分ける。違いを体感。
- クールダウン(5分):パターで感覚確認。
プレショットチェックリスト(現場で瞬時に使える)
- 距離(ピンまでの距離・安全マージン)
- ライ(花道/普通/ラフ/砲台)
- パターで転がせないか? → Yesならパターを優先
- 使用クラブ(基本:PW/9I → 必要ならAW/SW)
- 狙い所(センター寄せ/手前に落とす等)
- 振り幅(膝/腰/胸のどれかを決める)
- 体重配分(左足体重を作る)
- 呼吸+1回深呼吸してリズムで打つ(ゆっくり入って速く出すイメージ)
アプローチ専用「振り幅 → キャリー表」

👉 使い方のポイント
まずは 1本のクラブ(SWやAW)から 記録を始める
10球前後打って平均キャリーをメモする
実戦で「この振り幅なら〇ヤード」と決め打ちできると安心感が増す
「備考欄」にはグリーンの硬さやランの目安などを書き足すと便利
まとめ
- 初心者の失敗は「技術がない」より「基準がない」ことが大きい。
- まずは「パターが使えるか」「転がせるクラブで小さく振る」を習慣に。
- 振り幅ごとのキャリーを事前に測って感覚を作り、左足体重で軸を安定させることで、グリーンオン率は劇的に上がる。
- 目標は「寄せワン」ではなく「オンして2パットでまとめる」こと。
正確にアプローチのキャリーを計測するには屋外の練習場では難しく、シミュレーションゴルフがお勧めです。
理由は
①時間制で何球でもアプローチショットの練習ができる
②正確なキャリーの計測ができ、ランの傾向も把握できる
③動画で自分のスイングを確認でき改善点を確認しやすい
④慣れてきたら少しずつ距離を長くしていくことも可能
徹底的にアプローチ練習を行い、最低でも100ヤード以内は3打であがれるようになれば、100切りは容易に達成できるようになります。


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